父であるワタクシが、わが子の大学受験勉強に本格的に関わりをもったのが、わが子が「高校2年の年末」を迎える時期でありました。
その際に、当時のわが子の英語能力の低さにショックを受けたのですが、ショックを受ける少し前に、「第一弾の衝撃」を受けていたことを思い出しましたので、ここで述べさせていただきます。
【衝撃】 えっ!? 紙の辞書は?
第一弾の衝撃とは、タイトルからもお察しの通り、英語の勉強をするにあたり、「紙の英和辞典」をもっていないというものです。
(電子辞書のみを使用していた)
もしかしてイマドキの学生、受験生は「電子辞書」をスマートに使いこなし、「電子辞書」しか使わないのが「当たり前」のご時世となってしまっているのでしょうか。
たとえ「当たり前」のご時世になっていたとしても、古臭い昭和の父はここは断固として「紙の辞書を使いなさい」とゴリ押し、ゴリ説得いたしました。
(これだけはどうしても譲れません)
早速父は、「英和辞典」の情報をネットで集め始めます。
(ここは「電子情報」にアタリマエにすぐに頼ります)
3つほど良さそうな候補が固まりましたが、わが子にとって、向き不向きもあるでしょうから、本人に書店で現物を確認に行かせ、本人に買ってこさせました。
最終的に選ばれたのは、父が内心ベストと考えていた「ジーニアス英和辞典」(第5版)でありました。
父が学生のころに初版が登場し、一世を風靡し、ボロボロになるくらいに使い込んだ思い入れのある辞書です。
わが子が、紙の辞書を使い始めの頃は、「面倒くさい」だの「エービーシーディー…」などとブツブツ言いながら、非常にたどたどしく長い時間をかけながら、辞書を引いていました。
(辞書を引けないこんなレベルからのスタートでした)
受験勉強も最後の頃になると、「一発で該当ページを開けるぜ」などと自慢するくらいにまでに、素早く引けるようにはなりました。
「紙の辞書」VS「電子辞書」
ここで、「紙の辞書」と「電子辞書」のそれぞれのメリット・デメリットを、表形式にわかりやすく記載したいと思います。
…といきたいところですが、表形式のテクニックを併せ持っていないので、「紙の辞書」の良い点を以下にとにかく挙げていきたいと思います。
【紙の辞書の良い点】
・どんどん書き込み、マーキングができる
(自分オリジナルの辞典に仕上げられ、イメージ記憶を強化することができる)
・ページをめくるたびに、自ずと他の単語も目に入ってくる
(記憶にもっとも重要な「反復」を、自然にできることになる)
・例文が豊富である
(正しい短文に触れることができ、使用法を文脈で捉えることができる)
(例文で、難しい単語に巡り合ったら、即座に調べ、連鎖的に語彙を増やすことができる)
・重要な単語は、大きく表記されているため、目に入った大きな単語が分からなければ、「危機感」を覚える。
(基本単語、重要単語を確実に覚えていくことができる)
・役に立つ「コラム」や「まとめ」が随所に散りばめられている。
(気分転換をしつつ、かつ「記憶の整理」に有効)
・使えば使うほど、自分の手に馴染んできて、だんだん愛着が湧いてくる
(辞書は、単に単語の意味を調べるためだけの手段・道具ではなく、戦友・パートナー感が高まる)
・目的の単語にたどりつくまで、苦労する(苦労できる)
(安易に答えがでるよりも、苦労した分だけ、記憶が定着する)
・ページ内における「位置」なども含めて、記憶強化に役立つ
(「確か右ページの中ほどにあったな」という覚え方が、試験で役に立つこともある)
・1対1対応の覚え方は、単線的で記憶の定着が図られないが、1つ調べて縦横無尽に辞書内を駆け巡ることで、複線的な記憶となる。
(脳のネットワークも複線化して、記憶が強化される)
・五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)をフルに使える
(「味覚さえも使って覚えよ」とよくスパルタンに言ったものです。)
以上、紙の辞書の良い点を列挙してみました。
しかし、ここにあげたメリットは、「受験勉強」向けの語学能力を高める場面において発揮するメリットと言えます。
「受験勉強」とは関係ない場面では、こんなショウワ臭ただよう七面倒臭い使い方を、イチイチやる必要性は低下します。
(電子辞書やネットで素早く検索すれば「終了!」です)
最後に
世間では「ペーパーレス化」が進み、「電子辞書の出現」などはその最先端たるものでしょう。
分厚い辞書数冊分の膨大なデータを、コンパクトな機器に収め、なおかつ、調べたいことが瞬時に出てくるなんて、なんたるスグレモノでありましょうか。
ポータブル性能も抜群ですし、保管場所もとりませんし、流暢な音声まで出てきます。
ただし、「受験勉強」をはじめとした、勉強するため、学力を向上させるためのツールとしての辞書は、やはり断然「紙の辞書」に軍配が上がります。
簡単に手に入れたものは、簡単に失うものです。
(安易に覚えたものは、すぐ忘れます。)
苦労して探し出し、五感を使って、脳に汗かいて覚えようとすることで、記憶は定着するのです。
わが子も最初はなかなか面倒くさがっており、せっかく購入した辞書もなかなか使われませんでした。
父の「辞書を繰れ!」も序盤においては、何度も何度も、粘り強く、繰り返し炸裂しておりました。
なお、父は電子辞書にそれほど精通もしていないので、「紙の辞書の良い点」としてあげた程度のことくらい、ある程度はできるのかもしれません。
ただ、なんといってもあの手首が疲れる「重量感」や「編者の心血の注入感」は、紙の辞書特有のものであり、あの重厚さを他では味わうことはできません。
それだけでも十分に「紙の辞書」にこだわる理由にはなるのではないでしょうか。
なお、たまに質問を受けた際に正しく答えるために、父が辞書を手に取る機会も少なからずありました。
そのたびに、この懐かしい重量感や紙の質感、インクの匂いとともに、若かりし父にも確かに存在した青春時代の追憶が、指先や鼻腔の奥深くに、蘇ってきたものでありました。

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